2011.05.31.
東日本大震災から2ヵ月。多くの中小企業が大きなダメージを被りました。遠方の取引先が被災すると、震災の直接被害がない企業でも大なり小なり影響が出ます。
前回に続き、震災に関する中小企業向けの情報の一部を、ダイジェスト形式でお知らせします。
経済産業省は4月22日、親事業者及び都道府県下請企業振興協会に対して、東日本大震災により影響を受けている下請中小企業について、できる限り取引関係を継続することや優先的に取引あっせんを行うこと等を要請しました。
1. 親事業者(約22,000社)に対する要請の概要
(1)取引の維持・再開について
今回の災害の影響を受けた下請中小企業が事業活動を維持、又は今後再開するにあたり、できる限り取引関係を継続し、又は優先的に発注を行うこと。
(2)風評被害の防止について
原子力発電所事故に関して、科学的・客観的根拠に基づき適切に取引を行うこと。
2. 都道府県下請企業振興協会に対する要請の概要
(1)優先的な取引のあっせんについて
今回の災害の影響を受けた中小企業に優先的に取引あっせんを行うとともに、被災地域の中小企業に対して一層の支援を行うこと。
(2)取引の維持・再開への支援について
被災中小企業の事業再開に当たり、一時的に取引停止を余儀なくされた従来の親事業者との取引が円滑に再開されるよう配慮すること。
中小企業倒産防止共済制度は、取引先が倒産した場合に、積み立てた掛金総額の10倍を限度に、無利子・無担保・無保証人で共済金を貸し付け、中小企業の連鎖倒産を防止する制度です。
今般、甚大な災害によって支払いができなくなった取引先の手形・小切手等を所持する場合についても共済金の貸付けが受けられるようにするため、4月8日に制度が改正されました。
1.背景等
現行の中小企業倒産防止共済制度においては、取引先が
(1)法的整理手続(破産法、民事再生法等)の申立て
(2)手形取引停止処分
(3)私的整理(弁護士等が介在するものに限る)
の3つの共済事由のいずれかに該当する場合に共済金の貸付請求ができることとなっています。しかしながら、今般のように甚大な災害が発生した場合、手形交換所では、手形支払いにおいて災害による不渡りとなった手形・小切手等については「災害による不渡り」として扱い、手形・小切手等について不渡り処分(不渡り報告への掲載・取引停止処分)が猶予される措置が実施されていることから、共済契約者は売掛金債権等を回収できず、共済金の貸付請求もできない状況が生じていました。
2.措置する内容等
「災害による不渡り」を本共済制度上の共済事由として新たに追加規定(省令改正)することにより、「災害による不渡り」となった手形・小切手等を所持する共済契約者等が共済金を貸付請求できることとしました。
これによって、売掛金債権等の回収ができない共済契約者の資金繰りを支援します。