2011.01.16.
依然として先行きが見えない今の時代、企業経営に不可欠なのは経営理念です。
どんな社長でも持っている"熱き思い"を、経営理念というかたちで言葉に残すことで、社員を同じ方向に向かせることができ、この難局を乗り切れるのです。年始にじっくりと会社について考え、熱い思いを経営理念に表してみませんか。
「経営理念」は、経営計画案の中に必ず入れるべきものです。
経営理念をつくるのは社長の役割です。ですから社長は「わが社の経営理念とは何か?」ということを念頭に起きながら、経営計画案を策定する必要があります。
なかには「経営理念なんて必要ないよ」と言う社長さんも少なくありません。実際に経営理念がなくても機能している会社も、たくさんあります。ただし、それは次のような限られたケースです。
・社員がせいぜい数人程度の会社
・同じメンバーが同じようなことを続けている会社
言い換えれば、長年の経験で意志統一がとれている会社、成長しなくてもいい会社です。
しかし、そのような会社は極めて例外的な存在です。現在のような先行き不透明な不況期には「成長しなくてもいい」と判断した時点で、企業は衰退へとずるずると引き込まれてしまいます。
「成長しよう」という強い意志がなければ成長はもちろん現状維持すらままならないのです。
だから、ほとんどの企業にとって経営理念は欠かせません。
たとえ状況が変化しても変わることがない、企業活動の基本となる考え方を、経営理念として表す必要があるのです。
社長が強烈なカリスマ性を持っていると、しばしば「社長=経営理念」となります。
明文化した経営理念がなくても、社員は社長本人をいつも見ていればいいのです。
しかし、今の時代、真の意味でのカリスマ的資質を持った人はめったにいません。また、どんなにカリスマ性が強い社長でも、当然ながら寿命があります。
カリスマ性だけで永続的に社内がまとまることは不可能なのです。
カリスマ性もなく、経営理念もない会社は、社員が勝手な方向を向き、違うことを考え、その結果として全体から見れば適切でない行動をとってしまいます。こうしたまとまりのない会社は、常に将来に不安を抱えています。
経営理念が明確であれば、社員はそれを見ることで、同じ方向に向かって進むことができます。
「自分たちの目の前にある利益を取るか、それとも顧客の利益を追求するか?」。
もしこんな迷いが生じる場面に直面しても、「顧客第一主義」であることを経営理念で示してあれば、社員は目先の利益に走らなくても済むのです。
経営理念は、最初はつたない言葉でも構いません。
「こんな会社にしたい」という社長の思いを言葉にすることに意義があるのです。時を追うごとに少しずつ変えて完成へと近づければいいでしょう。